OpenStack はオープンソースプラットフォームで、OpenStack を使うと、コモディティハードウェア上で動作する Infrastructure as a Service (IaaS) クラウドを自分で構築できます。
OpenStack は、オープンソース、オープン設計、オープン開発を信じています。すべては、あらゆる人の参加を奨励するオープンコミュニティにより行われています。OpenStack の長期ビジョンは、規模によらず、パブリッククラウドやプライベートクラウドのプロバイダーの要求を満たす、ユビキタスなオープンソースのクラウドコンピューティングソフトウェアを作成することです。OpenStack のサービスは、データセンター全体のコンピュート、ストレージ、ネットワークの大規模なリソースプールを制御します。
OpenStack の背後にある技術は、クラウドインフラストラクチャーソリューション向けのさまざまなコンポーネントを提供する、一連の相互に関連するプロジェクトから構成されます。各サービスは、これらのリソースをすべてダッシュボードから管理できるよう、オープンな API を提供します。これは、権限を与えられたユーザーが、API をサポートする Web インターフェース、コマンドラインクライアント、ソフトウェア開発キット (SDK) 経由でリソースを配備する管理者権限を与えます。多くの OpenStack API は拡張できます。API 拡張経由でより多くのリソースにアクセスして革新しながら、コアなコール群の互換性を保つことができます。OpenStack プロジェクトは、開発者とクラウドコンピューティング技術者のグローバルなコラボレーションです。プロジェクトは、パブリッククラウドおよびプライベートクラウド向けのオープン標準なクラウドコンピューティングプラットフォームを生産します。実装のしやすさ、大規模なスケーラビリティ、さまざまな豊富な機能、ものすごい拡張性に注力することにより、プロジェクトはあらゆる種類の組織に対して実践的かつ信頼できるクラウドソリューションを提供することを目指しています。
OpenStack は、オープンソースプロジェクトとして、ユニークな点があります。その 1 つは、さまざまなレベルで OpenStack に携わりはじめることができる点です。すべてを自分自身で行う必要はありません。
「まだクラウドを構築する必要がありますか?」と質問したことでしょう。クレジットカードを使うだけで、コンピュートサービスやストレージサービスを使いはじめたい場合、eNovance、HP、Rackspace などのパブリック OpenStack クラウドを使うことができます。それらの OpenStack クラウドのリソースを使うことは、パブリックにアクセスできる Amazon Web Services Elastic Compute Cloud (EC2) や Simple Storage Solution (S3) にアクセスすることと同じです。
しかしながら、OpenStack の魅力的な部分は、自分のプライベートクラウドを構築することかもしれません。この目標を達成するいくつかの方法があります。おそらく最も簡単な方法は、アプライアンス形式のソリューションです。アプライアンスを購入し、それを展開し、電源とネットワークを接続します。そして、最小限の設定だけで OpenStack クラウドが構築されていくことを見ていてください。
また一方、ハードウェアの選択が多くのアプリケーションにとって重要です。そのため、アプライアンスを適用する場合、自分で選択したサーバー、ストレージ、ネットワークの製品で実行できる、ソフトウェアディストリビューションがいくつかあることを考慮してください。Canonical (2011 年に標準のクラウド製品を Eucalyptus から OpenStack に置き換えました)、Red Hat、SUSE は、エンタープライズレベルの OpenStack ソリューションとサポートを提供しています。Rackspace、Piston、SwiftStack、Cloudscaling などの専門的なディストリビューションも見たいかもしれません。
代わりに、ベースとするハードウェアやアプリケーション、いくつかの新機能の追加、コンポーネントをくみ上げる方法を判断するために、誰かに支援してほしい場合、Mirantis や Metacloud などの OpenStack の経験豊富なシステムインテグレーターに連絡することを検討してください。
自分たち内部の OpenStack 専門性を高めることを優先する場合、それを始める良い方法は、トレーニングに参加または手配することかもしれません。OpenStack Foundation は、お近くのイベントを見つけられる Training Marketplace を開いています。また、OpenStack コミュニティーは、オープンソースのトレーニング教材を 作成していますworking to produce 。
しかしながら、このガイドは別の想定読者もいます。独自の自作ソリューションを導入することにより、OpenStack フレームワークの柔軟性を求めている人々です。
OpenStack は水平的にスケールするよう設計されているため、クラウドの拡大に合わせて新しいコンピュート、ネットワーク、ストレージのリソースを簡単に追加できます。大規模 OpenStack パブリッククラウドの広播性に加えて、PayPal、Intel、Comcast などの多くの組織が大規模なプライベートクラウドを構築しています。OpenStack は、クラウドを構築するためのいくつかの異なる技術を統合できるので、一般的なソフトウェアよりも多くのものを提供します。このアプローチにより、素晴らしい柔軟性を提供しますが、始めは数多くのオプションにより圧倒されるかもしれません。
この本は、OpenStack クラウドの運用を始めようとして人も、運用中の OpenStack クラウドを引き継ぎ、うまく動かし続けようとしている人も対象にしています。おそらく、あなたは devops チームの一員であったり、クラウドを始めたばかりのシステム管理者なのでしょう。あなたの会社の OpenStack クラウドチームに入ろうとしているのかもしれません。この本はそのような皆さん全員に向けたものです。
このガイドは、OpenStack をサポートする Linux ディストリビューション、SQL データベースや仮想化に関してよく知っていることを前提にしています。複数台の Linux マシンのネットワーク設定・管理にも慣れている必要があります。SQL データベースのインストールと管理を行い、場合によってはデータベースに対してクエリーを実行することもあります。
OpenStack クラウドの最も複雑な点の一つにネットワーク設定があります。DHCP、Linux ブリッジ、VLAN、iptables といった考え方をよく理解していなければなりません。OpenStack クラウドで必要となるスイッチやルータを設定できるネットワークハードウェアの専門家と話をする必要もあります。
注釈
クラウドコンピューティングは非常に高度な話題です。また、本書は多くの基礎知識を必要とします。しかしながら、クラウドコンピューティングに慣れていない場合、本書の最後にある 用語集 、OpenStack のオンラインドキュメント、情報源 にある本書で参照されている参考資料を使うことを推奨します。
作業を完了するために役立つ、その他のガイドは OpenStack ドキュメント Web サイト にあります。
自動化せずに、手動で行う場合のインストール手順について説明しています。パッケージングシステムがある複数のディストリビューション向けのインストールガイドがあります。
This book contains several parts to show best practices and tips for the repeated operations for running OpenStack clouds.
後付:
私たちは少なくとも1年以上 OpenStack クラウドを構築し運用してきました。そこで得られた知識を多くの人と共有するために、この本を書きました。 OpenStack クラウドの責任者として数ヶ月がたつと、そのドキュメントを渡しておけば、システム管理者に日々のクラウドの運用をどのように行なえばよいかが分かるようなドキュメントが欲しくなりました。また、クラウドを構築する際に選択したやり方のより詳細な技術情報を共有したいと思いました。
次のような場面であなたの助けとなるように、この本を書きました。
私たちはこの本を Book Sprint で執筆しました。 Book Sprint は短い期間で本を建設的に作成できるメソッドです。詳しい情報は、 BookSprints のサイト を参照して下さい。著者らは2013年2月の5日間でこの本をまとめあげました。カフェインと、テキサス州オースティンの素晴らしいテイクアウトの食事は力になりました。
最初の日に、アイデアを色とりどりのポストイットでホワイトボードいっぱいに書き出し、クラウドを設計し運用するという漠然とした話題を扱った本の作成を開始しました。
私たちは一心不乱に自分たちの経験に基づき執筆を行い、互いに意見をぶつけ合いました。一定の間隔で、本の現在の状況や構成をレビューし、本を作り上げていき、今皆さんが見ているものができあがりました。
以下が執筆チームのメンバーです。
数多くの方々の努力がコミュニティのドキュメントを維持しています。私たちのコミュニティーのメンバーは、一年を通じて、このドキュメントの内容を更新しました。また、最初のスプリントの 1 年後、Jon Proulx さんが 2 回目となる 2 日間のミニスプリントを主催しました。これは、MIT で行われ、最新リリースに向けた更新を目標としました。ドキュメント作成以降、30 人以上の貢献者がこのドキュメントをサポートしてきました。レビュー、継続的ビルド、翻訳のツールチェインがあります。執筆者や開発者は継続的に、パッチをレビューし、ドキュメントバグを記入し、内容を編集し、そのバグを修正します。その方々の努力を認めたいと思います。
以下の方々がこのドキュメントに貢献しています: Akihiro Motoki, Alejandro Avella, Alexandra Settle, Andreas Jaeger, Andy McCallum, Benjamin Stassart, Chandan Kumar, Chris Ricker, David Cramer, David Wittman, Denny Zhang, Emilien Macchi, Gauvain Pocentek, Ignacio Barrio, James E. Blair, Jay Clark, Jeff White, Jeremy Stanley, K Jonathan Harker, KATO Tomoyuki, Lana Brindley, Laura Alves, Lee Li, Lukasz Jernas, Mario B. Codeniera, Matthew Kassawara, Michael Still, Monty Taylor, Nermina Miller, Nigel Williams, Phil Hopkins, Russell Bryant, Sahid Orentino Ferdjaoui, Sandy Walsh, Sascha Peilicke, Sean M. Collins, Sergey Lukjanov, Shilla Saebi, Stephen Gordon, Summer Long, Uwe Stuehler, Vaibhav Bhatkar, Veronica Musso, Ying Chun 「Daisy」 Guo, Zhengguang Ou, ZhiQiang Fan.
この本の元は人が集まったイベントで作成されましたが、今やこの本はみなさんも貢献できる状態になっています。 OpenStack のドキュメント作成は、バグ登録、調査、修正を繰り返して行うというコーディングの基本原則に基いて行われています。我々はこの本のソースコンテンツを GitHub にも置いており、レビューシステムである OpenStack Gerrit 経由で協力をお待ちしています。この本の O’Reilly 版では、我々は O’Reilly の Atlas システムを使用していますが、ソースコンテンツは GitHub にも格納され、コントリビュータ間での共同作業ができるようになっています。
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タグは、そのバグがこのガイドに関するものであることを示します。どのように直せばよいか分かる場合には、そのバグの担当者を自分に割り当てることもできます。また、OpenStack doc-core チームのメンバーがドキュメントバグを分類することもできます。
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