ネットワークオプション 2: セルフサービスネットワーク

ネットワークオプション 2: セルフサービスネットワーク

コントローラー ノードにおいて、Networking のコンポーネントのインストールと設定を行います。

コンポーネントのインストール

# apt-get install neutron-server neutron-plugin-ml2 \
  neutron-plugin-linuxbridge-agent neutron-l3-agent neutron-dhcp-agent \
  neutron-metadata-agent python-neutronclient conntrack

サーバーコンポーネントの設定

  • /etc/neutron/neutron.conf ファイルを編集し、以下の作業をすべて行います。

    • [database] セクションで、データベースのアクセス方法を設定します。

      [database]
      ...
      connection = mysql+pymysql://neutron:NEUTRON_DBPASS@controller/neutron
      

      NEUTRON_DBPASS はデータベース用に選択したパスワードで置き換えます。

    • [DEFAULT] セクションで、Modular Layer 2 (ML2) プラグイン、ルーターサービス、IP アドレス重複を有効にします。

      [DEFAULT]
      ...
      core_plugin = ml2
      service_plugins = router
      allow_overlapping_ips = True
      
    • [DEFAULT][oslo_messaging_rabbit] セクションに、RabbitMQ メッセージキューのアクセス方法を設定します。

      [DEFAULT]
      ...
      rpc_backend = rabbit
      
      [oslo_messaging_rabbit]
      ...
      rabbit_host = controller
      rabbit_userid = openstack
      rabbit_password = RABBIT_PASS
      

      RABBIT_PASS を RabbitMQ の openstack アカウント用に選択したパスワードで置き換えます。

    • [DEFAULT] セクションと [keystone_authtoken] セクションに、Identity サービスへのアクセス方法を設定します。

      [DEFAULT]
      ...
      auth_strategy = keystone
      
      [keystone_authtoken]
      ...
      auth_uri = http://controller:5000
      auth_url = http://controller:35357
      auth_plugin = password
      project_domain_id = default
      user_domain_id = default
      project_name = service
      username = neutron
      password = NEUTRON_PASS
      

      NEUTRON_PASS を Identity サービスにおいて neutron ユーザー用に選択したパスワードで置き換えます。

      注釈

      [keystone_authtoken] セクションにある他のオプションは、コメントアウトまたは削除します。

    • [DEFAULT] セクションと [nova] セクションで、Networking が Compute にネットワークトポロジーの変更を通知するよう設定します。

      [DEFAULT]
      ...
      notify_nova_on_port_status_changes = True
      notify_nova_on_port_data_changes = True
      nova_url = http://controller:8774/v2
      
      [nova]
      ...
      auth_url = http://controller:35357
      auth_plugin = password
      project_domain_id = default
      user_domain_id = default
      region_name = RegionOne
      project_name = service
      username = nova
      password = NOVA_PASS
      

      NOVA_PASS は Identity サービスで nova ユーザー用に選択したパスワードで置き換えます。

    • (オプション) トラブルシューティングしやすくするために、冗長ロギングを [DEFAULT] セクションで有効にします。

      [DEFAULT]
      ...
      verbose = True
      

ML2 プラグインの設定

ML2 プラグインは、Linux ブリッジ機構を使用して、インスタンス用の L2 (ブリッジとスイッチ) 仮想ネットワークインフラを構築します。

  • /etc/neutron/plugins/ml2/ml2_conf.ini ファイルを編集して、以下の作業をすべて行います。

    • [ml2] セクションで、フラット、VLAN、VXLAN ネットワークを有効にします。

      [ml2]
      ...
      type_drivers = flat,vlan,vxlan
      
    • [ml2] セクションで、VXLAN プロジェクト (プライベート) ネットワークを有効にします。

      [ml2]
      ...
      tenant_network_types = vxlan
      
    • [ml2] セクションで、Linux ブリッジ機構および layer-2 population 機構を有効にします。

      [ml2]
      ...
      mechanism_drivers = linuxbridge,l2population
      

      警告

      ML2 プラグインの設定後に、type_drivers オプションから値を削除すると、データベース不整合が発生する可能性があります。

      注釈

      Linux ブリッジエージェントは、VXLAN オーバーレイネットワークのみをサポートします。

    • [ml2] セクションで、ポートセキュリティー拡張ドライバーを有効にします。

      [ml2]
      ...
      extension_drivers = port_security
      
    • [ml2_type_flat] セクションで、パブリックフラットプロバイダーネットワークを設定します。

      [ml2_type_flat]
      ...
      flat_networks = public
      
    • [ml2_type_vxlan] セクションで、プライベートネットワーク用の VXLAN ネットワーク ID 範囲を設定します。

      [ml2_type_vxlan]
      ...
      vni_ranges = 1:1000
      
    • [securitygroup] セクションで、 ipset を有効にし、セキュリティーグループルールの効率性を向上させます。

      [securitygroup]
      ...
      enable_ipset = True
      

Linux ブリッジエージェントの設定

Linux ブリッジエージェントは、プライベートネットワーク向けの VXLAN トンネルなどの、インスタンス用の L2 (ブリッジおよびスイッチ) 仮想ネットワークインフラを構築して、セキュリティーグループを処理します。

  • /etc/neutron/plugins/ml2/linuxbridge_agent.ini ファイルを編集し、以下の作業をすべて行います。

    • [linux_bridge] セクションにおいて、仮想パブリックネットワークを物理パブリックネットワークのインターフェースに対応付けます。

      [linux_bridge]
      physical_interface_mappings = public:PUBLIC_INTERFACE_NAME
      

      PUBLIC_INTERFACE_NAME を物理パブリックネットワークのインターフェース名で置き換えます。

    • [vxlan] セクションにおいて、VXLAN オーバーレイネットワークを有効にし、オーバーレイネットワークを処理する物理ネットワークインターフェースの IP アドレスを設定し、layer-2 population を有効にします。

      [vxlan]
      enable_vxlan = True
      local_ip = OVERLAY_INTERFACE_IP_ADDRESS
      l2_population = True
      

      OVERLAY_INTERFACE_IP_ADDRESS を、オーバーレイネットワークを処理するベースの物理ネットワークインターフェースの IP アドレスで置き換えます。サンプルアーキテクチャーでは、他のノードへのトラフィックをトンネリングするのに管理インターフェースを使用します。したがって、 OVERLAY_INTERFACE_IP_ADDRESS を各ノードの管理用の IP アドレスで置き換えます。

    • [agent] セクションにおいて、ARP スプーフィングの保護を有効にします。

      [agent]
      ...
      prevent_arp_spoofing = True
      
    • [securitygroup] セクションで、セキュリティグループを有効にし、 Linux ブリッジ iptables ファイアウォールドライバーを設定します。

      [securitygroup]
      ...
      enable_security_group = True
      firewall_driver = neutron.agent.linux.iptables_firewall.IptablesFirewallDriver
      

L3 エージェントの設定

L3 エージェント は、仮想ネットワーク用のルーティングおよび NAT サービスを提供します。

  • /etc/neutron/l3_agent.ini ファイルを編集して、以下の作業をすべて行います。

    • [DEFAULT] セクションで、Linux ブリッジインターフェースドライバー、外部ネットワークブリッジを設定します。

      [DEFAULT]
      ...
      interface_driver = neutron.agent.linux.interface.BridgeInterfaceDriver
      external_network_bridge =
      

      注釈

      external_network_bridge オプションは、1 つのエージェントに複数の外部ネットワークを有効にすることができません。これは意図的なものです。

    • (オプション) トラブルシューティングしやすくするために、冗長ロギングを [DEFAULT] セクションで有効にします。

      [DEFAULT]
      ...
      verbose = True
      

DHCP エージェントの設定

DHCP エージェント は、仮想ネットワーク向けに DHCP サービスを提供します。

  • /etc/neutron/dhcp_agent.ini ファイルを編集して、以下の作業をすべて行います。

    • [DEFAULT] セクションにおいて、Linux ブリッジインターフェースドライバー、Dnsmasq DHCP ドライバーを設定して、 isolated metadata を有効にします。これにより、パブリックネットワークにあるインスタンスがネットワーク経由でメタデータにアクセスできます。

      [DEFAULT]
      ...
      interface_driver = neutron.agent.linux.interface.BridgeInterfaceDriver
      dhcp_driver = neutron.agent.linux.dhcp.Dnsmasq
      enable_isolated_metadata = True
      
    • (オプション) トラブルシューティングしやすくするために、冗長ロギングを [DEFAULT] セクションで有効にします。

      [DEFAULT]
      ...
      verbose = True
      

    VXLAN などのオーバーレイネットワークは追加のパケットヘッダーが必要で、このため、オーバーヘッドが増え、ペイロードやユーザーデータで利用可能な空間が減ります。仮想ネットワーク基盤に関する情報がないと、インスタンスが、デフォルトの Ethernet 最大転送単位 (MTU) 1500 バイトを使用して、パケットを送信しようとします。インターネットプロトコル (IP) には path MTU discovery (PMTUD) 機構があり、通信エンド間の MTU を検知して、パケットサイズを適切に調整します。しかしながら、オペレーティングシステムやネットワークによっては、パフォーマンス劣化や接続エラーを引き起こす PMTUD がブロックされていたり、対応していなかったりします。

    理想的には、プロジェクトの仮想ネットワークを含む物理ネットワークにおいて、ジャンボフレーム を有効にすることで、これらの問題を防げます。ジャンボフレームは最大で約 9000 バイトの MTU をサポートしています。 9000 バイトくらいになると、仮想ネットワークにおける VXLAN オーバーヘッドの影響がなくなります。しかしながら、ジャンボフレームをサポートしていないネットワークデバイスは多数あり、また、OpenStack の管理者がネットワーク基盤の管理権限を持っていないこともよくあります。後者の場合、VXLAN オーバーヘッドを考慮して、インスタンスの MTU を減らすことにより、MTU の問題を防ぐこともできます。適切な MTU 値を判断するには、しばしば実験を必要としますが、ほとんどの環境で 1450 バイトでうまく動くでしょう。IP アドレスを割り当てる DHCP サーバーを設定して、インスタンスに MTU を調整させることもできます。

    注釈

    クラウドイメージによっては DHCP MTU オプションは無視されます。この場合には、メタデータ、スクリプトや他の適切な方法を使って、MTU を設定する必要があります。

    • [DEFAULT] セクションで、dnsmasq 設定ファイルを有効にします。

      [DEFAULT]
      ...
      dnsmasq_config_file = /etc/neutron/dnsmasq-neutron.conf
      
    • /etc/neutron/dnsmasq-neutron.conf ファイルを作成、編集して、DHCP MTU オプション (26) を有効にし、値を 1450 バイトに設定します。

      dhcp-option-force=26,1450
      

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